日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌の超音波検査法
須藤 俊之近藤 博満対馬 健一相沢 中吉田 豊
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キーワード: 大腸癌, 超音波検査法
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1984 年 37 巻 5 号 p. 535-539

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抄録

大腸癌例に対し肛門より逆行性に温水を注腸しながら超音波検査を行い, 腫瘍像の描出, 進行程度の診断, 肝転移, リンパ節転移の診断を行い, その有用性を検討した.
対象は当科にて諸検査を行い, 手術または内視鏡的ポリペクトミーにて摘除し診断が確定した大腸癌35例である.方法は前処置として検査前日にBrown変法による検査食, 下剤を服用させ, 検査前に鎮痙剤の筋注または静注を行った.その後, 微温湯300~1000mlを注腸し, 検索部位を温湯で充満させた状態で腹壁より超音波検査を施行した.使用装置はリニア電子走査型超音波診断装置 (東芝SAL-5OA, SAL-30A, 探触子5MHz, 3.5MHz) である.
結果 : 超音波検査により大腸癌35例中34例 (97%) に腫瘍像が描出できた.超音波検査により描出された大腸癌は全例が低エコー像を示した.描出不能例は直腸癌の1例であった.描出できた34例の大腸癌の進行程度についてDukes分類と超音波検査の一致率をみるとDukes A 100% (7例/7例), B67% (6例/9例), C50% (9例/18例) で, 全体の正診率は65%であった.超音波検査による肝転移の診断率は100% (6例/6例) と非常に高かった.また, リンパ節転移の診断率は29% (5例/7例) と低かったが, 超音波検査でリンパ節の腫大が描出できた例はいずれも転移陽性であった.
以上の結果より, 温水注腸法を用いた超音波検査は大腸癌の検索には非常に有用である.特に大腸癌の進行程度の診断, 肝転移, リンパ節転移の診断がある程度可能であり, 術前検査として大きな意義をもつと考える.

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