直腸癌リンパ節転移の術前診療法において, 従来施行されている方法 (Kinmonth法) では主たる転移経路である上方および側方経路の転移状況を明確にすることは出来ない.私達は直腸癌23例, S状結腸癌9例に対して, 経肛門的RI lymphographyを施行し, 直腸領域のリンパ流の画像上の検索を行い, 病理学的診断と対比検討した.
直腸リンパ流がほぼ正常と考えられる no 直腸癌症例およびS状結腸癌症例では, 上方経路, 側方経路のscintigram上の描出率は各々100%, 88%であった.上方経路, 側方経路リンパ節に転移が著明で, リンパ流のブロックをおこしていると考えられる症例では, negative patternとしてscintigram上で診断可能であった.また上方経路のscintigram 上の描出を認めない症例は, 同経路のリンパ節の転移度が高い傾向を認めた.