日本大腸肛門病学会雑誌
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腸結核
丸山 雅一田中 容佐々木 喬敏
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1984 年 37 巻 6 号 p. 646-655

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抄録

大腸結核は日常診療においてはしばしば経験する炎症性疾患であり, ほとんどの場合, その臨床症状が軽微であることからクローン病とは鑑別が可能である.大腸結核の肉眼所見の特徴は, 「横走潰瘍」+「潰瘍搬痕をともなう萎縮帯」である.この特徴はX線・内視鏡的に比較的容易に把握できるから, 結核の診断は術前診断のレベルで十分に可能である.まれには潰瘍性大腸炎, クローン病と鑑別を要する結核があるが, このような場合には, まず抗結核療法を最初に試みるべきである.病理学的には, 大きく活きのよい非乾酪性肉芽腫が存在すれば, 肉眼所見の特徴を加味して結核の診断がなされるべきであり, 結核菌の同定や, 乾酪性肉芽腫の存在は診断のために不可欠の条件ではない.治療については, 穿孔・狭窄などの合併症がない限り化学療法のみで十分である.

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