38 巻 (1985) 7 号 p. 753-758
肛門手術は熟練者と未熟者とでは手術創,治癒過程に大きな違いを生じるので注意が必要である.
肛門疾患の治療は薬剤による保存療法が原則であるが,外科処置という武器を有効に使うべきである.手術療法における私のフィロソフィーは,ただ一度の手術で完治させることであり,手術術式が良くても,結果がまづければ,それは手術手技が悪いのである.
手術手技のポイントは,肉眼で見える解剖に沿って,丁寧で愛護的な侵襲を加えることである.何よりも結紮切除術は基本的な手技であるから,自由自在に使えるように訓練すべきである.痔瘻に関しては肛門前方ではcoring outを原則とするように,括約筋の温存手術を,また括約筋欠損が心配なら,それを引き寄せ固定する気配りが大切である.
その他,私は肛門術後障害の手術療法,中でも頻度は少ないが,直腸腟瘻の修復,括約筋閉鎖不全の再建に興味を持っている.