1986 年 39 巻 7 号 p. 846-857
胃大腸疾患においてsecretory component(SC)IgA,CEAおよび粘液の関係を免疫組織学的に検討すると,大腸粘膜はいずれも胃粘膜に比して強い染色性を示し,癌組織ではSC,IgAの染色性の低下とCEAの増強を認めた。また大腸腺腫では,CEAの染色性と組織学的異型度との間に,ある程度の相関性が認められた.Cronkhite-Canada症候群の成因は現在不明であるが,本症例の胃と大腸のポリープについて検討した.Juvenile type polypおよびその腺腫ではSCとIgAがともに低下し,SC産生能およびS-lgAの分泌機能の低下を認めた,さらに免疫組織学的に腸上皮化生および腺腫合併例に癌化の可能性が示唆された.以上より本症候群の背景には免疫機序の関与が推定された.