日本大腸肛門病学会雑誌
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Stercoral Ulcer (宿便潰瘍)と思われる4症例
清水 誠治岡田 博子多田 正大川井 啓市
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キーワード: stercoral ulcer, 宿便潰瘍
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1986 年 39 巻 7 号 p. 877-881

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抄録

Stercoral ulcerと考えられる4症例を経験したので文献的考察を加え報告した.症例は男性3例,女性1例で,年齢は56~82歳(平均70.2歳)であった.基礎疾患はさまざまであったが,いずれの症例も従来より便秘傾向が強く,臥床中に高度の便秘をきたした後に,下血により発症した.緊急大腸内視鏡検査では直腸またはS状結腸に不整形の潰瘍性病変が見出され,生検診断は非特異性潰瘍であった。治療の基本は便通の正常化であり,緩下剤・浣腸とともに輸血,経静脈栄養や低残渣食を併用し20~70日(平均42.5目)後に瘢痕治癒を確認した.本症は放置すれば,穿孔を来し死亡率が高いため,本症を常に念頭に置き,早期に発見し対処することが重要である.

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