1987 年 40 巻 1 号 p. 18-26
大腸の内容輸送運動は,その重要性が指摘されているにもかかわらず,正常時はもとより,下痢や結腸性便秘などの異常時においても十分解明されているとはいえない.今回,私は,ヒト大腸の内容輸送を長時間,連続して観察する新しい検査法一大腸シンチグラム検査(colonoscintigraphy)一を老案し,大腸に器質的な異常を認めない6例に施行した.検査は,大腸内視鏡を用いて盲腸に留置したカテーテルに99mTc-DTPAを注入し,その腸管内の動きをシンチカメラで70~90分間撮像する方法で行われた.その結果,全例で盲腸・上行結腸から直腸への内容の移動を示す大腸シンチグラム(colonoscintigram)が得られ,その立体表示も行った.さらに関心領域を大腸の5か所に設定し,各々の部位の大腸排出曲線(colonogram)を作成し,大腸の内容輸送を検討した.本検査法はヒト大腸の内容輸送運動の生理学的,臨床医学的研究において,有用な一検査法と考えられる.