日本大腸肛門病学会雑誌
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直腸肛門部悪性黒色腫
自験例と本邦報告137例の検討
岡部 聡中島 和美金子 慶虎竹村 克二五関 謹秀遠藤 光夫大橋 健一神山 隆一春日 孟
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1987 年 40 巻 4 号 p. 401-407

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抄録

直腸肛門部原発悪性黒色腫の1例を経験したので本邦報告137例を加え,診断と治療上の問題点を中心に検討した.症例は47歳女性,肛門部腫瘤の擦過細胞診により悪性黒色腫と診断し,腹会陰式直腸切断術(以下,APRと略す)さらに免疫化学内分泌療法を施行したが術後22カ月目に脳転移により死亡した.報告例を加えて検討した結果,診断については,(1)肛門出血を訴えるものが最も多く病悩期間は平均11カ月であった.(2)好発年齢は男女とも60歳台であり,男女比は1:1.83と女性に多かった.(3)本症の半数以上が直腸肛門移行部から発生しており,多発病変がみられたのは全体の23%であった,また(1)腫瘍最大径が5cm以上(2)壁深達度がss(a1)以上(3)肉眼的には潰瘍形成を伴う2または3型が1型よりも予後不良であった.早期診断,両側鼠径リンパ節郭清を伴うAPRと適切な抗癌剤等の投与による補助療法を行うことが本症の治療成績を向上させる上で必要であろう.

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