日本大腸肛門病学会雑誌
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クローン病におけるα1-Antitrypsin Clearanceと糞便中α1-Antitrypsin濃度の測定とその臨床的意義
安海 清樋渡 信夫
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1988 年 41 巻 4 号 p. 344-351

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抄録

クローン病のα1-antitrypsin clearance(α1AT-C)と随時糞便中α1AT(F-α1AT)濃度を経時的に測定し,その意義について検討した.健常者のF-α11AT濃度は全例測定限界以下(<9mg/g乾燥便)であった.クローン病活動期で82%,緩解期で34%の症例にα1ATが検出され,非切除例におけるそれぞれのα1AT-Cは149±22ml/日,90±14であった.つまり,α1AT-CとF-α1AT濃度は臨床的活動度と解離がみられ,炎症や栄養のパラメーターとは弱い相関を認めるか,あるいは相関を示さなかった.これらの測定は,腸管病変のみの活動度を示すパラメーターとして重要であり,経口摂取時にはF-α1AT濃度はα1AT-C値と正の相関を示し,簡単に蛋白漏出の程度を知る指標として有用と考えられた.

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