日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌によるイレウス症例の検討
貞広 荘太郎斎藤 敏明磯部 陽久保内 光一大村 敏郎山田 良成津村 整
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キーワード: 大腸癌, イレウス, 手術術式
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1988 年 41 巻 4 号 p. 372-377

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抄録

過去16年3カ月間に経験した原発性大腸癌335例のうち,33例(9.9%)がイレウス症状を呈した.これらのイレウス症例は非イレウス症例に比較し,年齢・性別に著しい差を認めないが,進行程度はより進行した症例が多い.右側大腸のイレウス症例では待期手術となりうる可能性が比較的高く,緊急手術となる場合には一期的切除が行われている.左側大腸のイレウス症例では待期手術となりうる可能性は低く,緊急手術例の92%には段階的手術の第一次手術として人工肛門が造設されている.緊急に一期的切除を施行した症例ではリンパ節郭清の程度は低い例が多い.右側大腸のイレウス症例にはlong tubeによる減圧に努め,緊急手術となる場合には積極的に第3群リンパ節までの郭清を伴った手術を行い,左側大腸のイレウス症例には,非イレウス症例と同等のあるいはそれ以上の積極的な根治手術を行うため,段階的手術を行うべきであると考えられる.

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