日本大腸肛門病学会雑誌
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経過観察可能であった原発性虫垂癌の1例
磯 篤典裏川 公章山口 俊昌中本 光春安積 靖友熨斗 有出射 秀樹西尾 幸男植松 清五百蔵 昭夫瀬藤 晃一岩越 一彦
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1989 年 42 巻 6 号 p. 1099-1103

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抄録

急性虫垂炎症状をもって発症した患者に腹部超音波検査と注腸造影を施行し, 7カ月前に同様の症状発現時に他院で行った注腸造影の所見を踏まえて, 結果的に経過観察がなされた虫垂癌の1例を経験した.症例は50歳, 男性.超音波所見では虫垂は腫大し, 壁は不整で中心部は不均一であった.7カ月前の注腸造影所見では虫垂開口部の一部のみが造影され, その壁は硬化と伸展不良を示し, 虫垂開口部の盲腸粘膜は上方へ圧排されていた.当院での注腸造影では盲腸右側の陰影欠損があり, その壁は硬化, 不整を示していた.以上より, 虫垂癌を疑い計画的にリンパ節郭清を含めた回盲部切除を行った.病理組織所見は虫垂根部を中心とした結腸型の原発性虫垂癌であり, 大腸癌取扱い規約によると, V, 5型, pm, ly (-), v (-), n (-), P0, H0&, M (-), stage Iであった.虫垂癌の臨床病理学的特徴について検討を加えた.

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