日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
早期直腸癌症例の検討
加藤 博之芳賀 駿介小豆畑 博松本 紀夫湖山 信篤梅田 浩森 正樹渡辺 修梶原 哲郎
著者情報
キーワード: 早期直腸癌, 深達度診断
ジャーナル フリー

1989 年 42 巻 6 号 p. 1109-1112

詳細
抄録

昭和50年1月から昭和63年8月までに当科で切除した直腸癌151例のうち, 早期直腸癌16例 (10.6%) を対象とし, 検討を行った. 早期直腸癌の形態を見ると全例とも隆起型であり, 陥凹型はなかった. 術前深達度診断は, 直腸指診, 注腸造影検査および大腸内視鏡検査で行い, 2つ以上の検査で一致をみたものをその深達度とした. 深達度術前診断と病理組織学的診断とを対比してみると, 総合的にM´と診断した9例中7例がmであり, SM´と診断した7例中6例がsmで, 正診率は81%であった. 個々の診断法別に見ると, 直腸指診で正診率78%, 注腸造影検査では, 75%, 大腸内視鏡検査では, 63%であり, 総合的に診断したほうが正診率が高かった. 組織学的には, 14例が高分化腺癌, 2例が中分化腺癌であった. リンパ節を検索できた5例とも転移を認めなかった. 脈管浸襲は, m癌にはまったく認められず, sm癌2例に認められた.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top