日本大腸肛門病学会雑誌
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クローン病に対するステロイド療法の治療効果の検討
萱場 佳郎樋渡 信夫三浦 正明山崎 日出雄熊谷 裕司豊田 隆謙
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1989 年 42 巻 6 号 p. 1113-1118

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抄録

活動期クローン病に対するステロイド (PSL) 療法の治療効果を明らかにする目的で当科の治療成績を検討した.対象および方法は活動期クローン病へのPSL未投与例15例に対してPSLを40mg/日経口投与で開始し, 以後2週ごとに減量した.治療効果は4週後, 8週後の血沈, CRP, IOIBDを用いて検討した.その結果, 多くの症例では4週後に血沈, CRPの改善を認めたが, 8週後では再び悪化する症例も認めた.IOIBDが正常化したのは約90%あったが, 血沈, CRPがともに正常化したのは4週, 8週で1, 2例しかなかった.PSL投与中は症状が隠蔽され, 急激に悪化する症例も見られた.現在, 8例は離脱困難で隔日投与継続中, 1例は漸減中, 3例は栄養療法を併用してPSLを中止, 3例は栄養療法後手術を施行した.結局, クローン病に対するPSL療法は症状の改善には有効だが, 減量により検査値の再燃をみることが多かった.

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