43 巻 (1990) 1 号 p. 1-8
大腸運動への迷走神経の関与を明らかにする目的で, イヌを対象に無拘束意識下で strain gauge forcetransducer を用いて全幹迷走神経切離術 (TV) 前後の大腸運動を観察し, 加えて組織化学的にTV後の大腸壁内自律神経の acetylcholinesterase (AchE) 活性を測定しその影響を検討した.TVにより大腸収縮波の持続時間は大腸各部位で有意に短縮したが, 振幅の減弱は遠位結腸より近位結腸の方が著明であった.また持続時間の短縮と振幅の減弱はTV2週後までがもっとも著明で, それ以後は次第に回復した.一方, 出現頻度はTV前後で変化は認められなかった.AchE活性はTV後低下してゆき, TV12週後では正常犬と比べて明らかな有意差が認められた.以上よりTVは大腸運動に大きな変化を及ぼすが, その影響は持続時間と振幅, 出現頻度, また大腸の部位により異なり, TV後の運動の回復にはAchE活性低下による組織内 acetylcholine (Ach) 増量が関与していることが示唆された。