日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌補助化学療法に関する実験的臨床的研究
-とくに術中漿膜下投与法について-
小川 泰之
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1990 年 43 巻 1 号 p. 26-32

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抄録

大腸癌の術中補助化学療法について現在まで種々の検討がなされ報告されてきているが, いまだもっとも有効とされる投与方法は確立していない.そこで, もっとも有効な投与方法を確立するためにリンパ行性制癌剤であるネオカルチノスタチン (以下NCSと略す) の術中漿膜下投与方法について検討した.すなわち, 大腸癌39症例にNCSを術中漿膜下に投与し, 1) 血中NCS濃度の経時的変化の測定, 2) 切除標本中の残存NCS量の測定, 3) 対照群との累積生存率の検定による予後の比較検討を行った.その結果, NCS1万単位の投与によって, 末梢血中NCS濃度が有効域にあり, かつ切除標本中残存NCS量からみても, 十分量のNCSがリンパ行性に体内へ移行したことを確認しえた.また累積生存率の検定で, NCS投与群が非投与群に比べて, その延命効果に有意差をもって有効性ありとの結論をえた.

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