日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌所属リンパ節の免疫組織化学的検討
嶋田 満森瀬 公友稲垣 貴史
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1991 年 44 巻 1 号 p. 59-68

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抄録

大腸癌患者20症例の所属リンパ節84個を用いて免疫組織化学的検討を行った.癌転移陰性リンパ節の傍濾胞域におけるCD8+細胞数は,stageIII患者では正常対照リンパ節に比べ有意に増加していた.またstageIII患者においてCD8+細胞は,転移陽性リンパ節では転移陰性リンパ節に比べ有意に増加し,かつ転移巣近位部では遠位部に比べ有意に増加していた.さらに,癌転移巣内のリンパ球浸潤の主体はCD8+細胞であり,その大部分はCD8+CDIIb-のcytotoxic T-cellと確認された.転移陽性リンパ節の癌転移巣内や傍濾胞域で,interleukin-2 receptor+(IL-2R+)の樹状細胞が集簇してみられ,その大部分はS100蛋白陽性のinterdigitating cell(IDC)で,またHLA-DR抗原陽性であり,活性化された抗原呈示細胞であることが推測された.以上より,大腸癌所属リンパ節では,cytotoxic T-cellやIL-2R+のIDCを介した癌と関連する宿主の免疫応答の存在が推定された.

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