日本大腸肛門病学会雑誌
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IV-2 裂肛,および裂肛類似疾患
野口 一成
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1991 年 44 巻 8 号 p. 1161-1166

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抄録

裂肛は肛門病学においていつも痔核,痔瘻の後塵を拝し,いわば傍役に甘んじている.しかし裂肛類似の疾患も加えると裂肛は頗るバラエティーに富んでおり,生半可な知識では対処しきれない.そこで"定型的ではない裂肛"病変を難治性か,稀かにとらわれることなく広く取り上げ,都合39疾患または病態を病型別に分類して各肛門病変の診断と治療について論じた.難治性肛門潰瘍を論ずるとき,ほとんど必ず引き合いに出されるのがCrohn病,潰瘍性大腸炎,結核,梅毒,白血病,肛門癌などである.これらの疾患を"有名な"疾患とすれば,"無名の"疾患の中にも重要な疾患が多数あることが分る,すなわち,肛門科医が苦手とする皮膚科的疾患,診断が混乱し易い,あるいは稀な感染症,近年話題の多い性行為感染症,稀な悪性疾患,原因不明の難病,医原性の潰瘍などである.さらに肛門外科医としてその解決に最も意を致さねばならないのは原因不明の潰瘍と術後難治創の問題であろう.

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