日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸多発癌の臨床的検討
増田 英樹谷口 利尚林 成興中村 陽一堀内 寛人渡辺 賢治林 一郎岩井 重富加藤 克彦田中 隆
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1992 年 45 巻 2 号 p. 182-187

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抄録

大腸多発癌の病態を把握し大腸癌全体の予後向上に役立てるために,本研究を行った.1981年1月から1990年12,月までの10年間に経験した大腸多発癌は47例(同時性38例,異時性9例)であり,同時期の大腸癌手術例835例の5.6%に相当した.進行度や異時性多発癌の発現時期から判断すると,同時性に発生したものを見逃して異時性として扱った症例がいくつかある可能性が推察された.腺腫の併存は20例(42.6%)にみられ,単発大腸癌の14.0%(105/749)より有意に高率であった(p<0.01).また3親等以内に癌家族歴を有する症例は,多発癌47例中22例(46.8%)で,単発大腸癌23.9%(179/749)と比較して有意に高率であった(p<0.01).多発癌の予後は単発癌とほぼ同等であった.以上より大腸多発癌は何らかの遺伝的因子が関与していると思われるが,carcinoma in adenomaを含めた同時性多発癌の発見や第2癌の早期発見は多発癌の予後向上につながると考えられた.

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