日本大腸肛門病学会雑誌
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肝膿瘍を合併した大腸癌の1例
正宗 淳緑川 浩資佐竹 賢三岡野 健黒田 房邦小林 信之
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1992 年 45 巻 2 号 p. 219-223

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抄録

抗生剤の進歩などにより門脈系由来の肝膿瘍は減少し臨床で遭遇することは稀となっている.われわれは肝膿瘍を合併した大腸癌の1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する.症例は69歳,男性.発熱および右上腹部痛を主訴に来院,腹部超音波ならびにCTにて肝膿瘍と診断し抗生剤の投与を開始した.その後便潜血反応陽性の精査のため下部消化管検査を実施,S状結腸に2'型大腸癌を認めた.このため根治目的に前方切除術ならびに肝膿瘍切開術を施行した,膿瘍壁は肉芽組織であり組織学的には門脈炎性の肝膿瘍であった.大腸癌による肝膿瘍の形成は腫瘍の腸管壁破壊により腸管内細菌が経門脈性に肝に感染巣を形成するためと推測され,悪性腫瘍の存在による免疫能の低下に加え高齢,糖尿病などの全身的因子の低下もその要因となると考えられる.近年の大腸癌の増加に伴い,肝膿瘍の原因疾患として大腸癌の可能性をも念頭に置いて検索する必要があろう.

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