日本大腸肛門病学会雑誌
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子宮留膿腫として発症した直腸癌の1例
高橋 利通笠岡 千孝小林 俊介田村 寿康国崎 主税大久保 賢治
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1992 年 45 巻 2 号 p. 224-227

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抄録

直腸癌の症状としては下血,血便,排便困難が多くみられるが,直腸癌が子宮と瘻孔を形成し,子宮留膿腫として発症することは比較的稀である.ここに報告する症例は64歳の女性で,発熱,下腹部痛,帯下を主訴に1991年7月,当院婦人科に入院となった.帯下に糞便が混じるようになり,腹部CT,注腸造影,大腸内視鏡検査でRs,全周性の直腸癌と診断した.低位前方切除術,子宮卵巣合併切除術を行った.切除標本では腫瘍と子宮体部は癒着しており,腫瘍の潰瘍底と瘻孔を形成していた.病理組織所見では高分化腺癌で癌の子宮筋層への浸潤が認められ,251番に1個転移が認められた.術後経過は不良で中心静脈栄養法による高度のアシドーシス合併により,意識障害をきたし,術後3週間で死亡した.剖検では腹壁の皮下膿瘍と肝臓の脂肪変性のみ認めた.

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