大腸癌67例につき同一腫瘍内の異なる5つの部位の核DNA量をflow cytometryにて測定し,DNA heterogeneityの頻度,臨床病理学的所見との関係につき検討した.部位によりploidy patternに違いがみられたのが16例,すべてaneuploidyであるがDNA indexの異なる細胞集団がみられたのが11例で,計27例(40.3%)にheterogeneityが認められた.heterogenityの有無と腫瘍の部位,大きさ,深達度,リンパ管侵襲,リンパ節転移の有無,stageとは相関がみられなかったが,中分化腺癌,静脈侵襲陽性例,肝転移例はheterogeneityを有した症例の方が有意に多かった.また深達度s(a2)以上,肝転移例,stage III以上の進行例はaneuploidyのみでheterogeneityのみられた症例でその頻度が最も高かった.つぎに,生検組織と手術摘出標本とのDNA indexの値を比較したところ,全体では良好な相関が得られたが,heterogereityを有する症例では相関はみられなかった.