日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
大腸癌におけるKi-67標識率と予後の関連
鈴木 宏志松本 好市山本 純二寺辺 政宏北川 達士杉平 宣仁野地 みどり多田 豊治小出 章
著者情報
キーワード: 大腸癌, Ki-67標識率, 予後
ジャーナル フリー

1992 年 45 巻 6 号 p. 851-854

詳細
抄録

大腸癌症例56例を対象とし,腫瘍組織の免疫組織学的染色を行って,Ki-67標識率(LI)を算出し,予後との関連を検討した.腫瘍組織のKi-67標識率は15.7~63.6%,平均38,2%であった.正常大腸粘膜のKi-67標識率のmean+2SDである42%をcut off値として,高LI群21例と低LI群35例にわけ,臨床病期,術後再発率,術後累積生存率を比較した.両群の間で,大腸癌取り扱い規約による臨床病期には有意な差を認めず,治療切除例の術後再発率にも有意な差を認めなかった.術後累積生存率は,全症例についてみても,治療切除例のみを抽出して比較しても両群間に有意な差を認めなかった.本研究の結果から,大腸癌組織のKi-67標識率は大腸癌の進行度,予後と有意な相関を認めず,予後規定因子としての意味は少ないことが示された。

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top