日本大腸肛門病学会雑誌
Online ISSN : 1882-9619
Print ISSN : 0047-1801
ISSN-L : 0047-1801
会陰部ボーエン癌の1例
前田 耕太郎橋本 光正村山 良彦佐野 真片井 均酒井 章次洪 淳一山本 修美細田 洋一郎西野 るり子掘部 良宗小林 正弘
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 45 巻 6 号 p. 884-889

詳細
抄録

肛門,外陰におよぶ会陰部に発生したボーエン癌の1例を報告し,治療について考察した.症例は,59歳の女性で,1年前よりの会陰部腫瘤を主訴にて受診した.会陰部には,肛門,外陰に及ぶ5.3×2.6cmの湿疹様病変と,肛門後方の3.7×3.4cmの湿疹様病変が不連続に認められ,肛門管には病変はみられなかった.広範囲局所切除と両鼠径リンパ節のサンプリングを行い,組織学的には,ボーエン病に伴う,最深3.5mmまで浸潤した分化型扁平上皮癌がみられ,リンパ節転移は認めなかった.これまで肛門癌,外陰癌の治療方針は,大きさ2cmを基準に機能温存手術が適応とされていたが,ボーエン癌の治療においては,広範囲局所切除術を基本とし,ボーエン癌を伴わない肛門癌や外陰癌の治療方針とは異なり,病変の大きさより,むしろ深達度や癌の分化度を考慮して術式の選択を行って良いのではないかと考察された.

著者関連情報
© 日本大腸肛門病学会

この記事はクリエイティブ・コモンズ [表示 - 非営利 - 改変禁止 4.0 国際]ライセンスの下に提供されています。
https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/4.0/deed.ja
前の記事 次の記事
feedback
Top