日本大腸肛門病学会雑誌
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I-2. 直腸癌括約筋温存手術
寺本 龍生渡辺 昌彦長谷川 博俊加瀬 卓捨田利 外茂夫藤田 伸郭 宗宏川野 幸夫川本 清北島 政樹
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1992 年 45 巻 8 号 p. 1123-1131

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抄録

術後のquality of lifeの観点から,直腸癌手術において可及的に自然肛門を温存する努力がなされており,Rs,Ra癌に対しては括約筋温存術が標準術式であるとつても過言ではない.Rb癌でも,技術的に可能であれば括約筋温存術により十分根治性が得られ,吻合法も器械吻合がその多くを占めている.さらに低位で吻合せざるを得ない場合には経肛門的に口側結腸断端と肛門側断端を吻合する経肛門的結腸肛門吻合術(PAA)が適応とされる.教室では1980年よりPAAを導入したが,同時期の腹会陰式直腸切断術(APR)と比較しても生存率,再発率,とくに局所再発率において有意の差はみられなかった。PAA術後の排便機能も,術後早期には障害されるが12ヵ月経過すると日常生活に支障がない程度に回復した.Rb癌の括約筋温存術として,器械吻合が困難な場合は,PAAが良好な術後の排便機能を保持し得る限界の術式である.

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