日本大腸肛門病学会雑誌
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多発性大腸ポリープの臨床病理学的特徴
三枝 奈芳紀更科 広実斉藤 典男布村 正夫中島 伸之
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1993 年 46 巻 6 号 p. 829-833

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抄録

大腸ポリープの多発性の意味を検討するために,大腸ポリペクトミー症例335例を臨床病理学的に検討した.単発群は217例,多発群は118例で,後者中同時性群は94例,異時性群は24例であった.多発群は単発群に比べて男性に多く(p<0.05),平均年齢も高齢であった(p<0.05),また多発群のポリープは右側結腸に多く認められ(p<0.01),最大径10mm以下のポリープが多かった(p<0.05).多発群ではポリープの癌化の頻度は低い傾向にあったが,進行癌の合併は多い傾向にあった(NS).異時性群は多発群の特徴をより強く示していた,多発性ポリープの分布は,同一および隣接区域に多発する傾向が認められた.ポリペクトミーの間隔は全体で平均17.7カ月,癌化症例で平均35カ月であった.大腸ポリペクトミー後のfollow upは上記の性質に留意し,半年から1年以内の再検後は2ないし3年に1回の割合で長期にわたり施行していく必要があると考えられた.

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