1994 年 47 巻 10 号 p. 1138-1146
直腸癌に対する術前放射線照射に関する報告を検討した結果,40-50Gy以上の照射量を用いると局所再発の低下および生存率の向上を期待できると考えられた。術前放射線照射は,手術前に一定の治療期間を要することや術後の創傷治癒の遷延などの問題点がある.放射線照射に化学療法や温熱治療を加えることによって腫瘍壊死増強効果が期待できることが報告されている。われわれは,40.5Gyの放射線照射に温熱療法を8 MHz radio-frequencyを用いて1回50分計5回併用した。その結果,温熱療法を併用することによって腫瘍壊死が増強されることが示された.今後,術前照射の効果を確認するとともに,照射期間の短縮や放射線照射による副作用軽減の目的で化学療法や温熱治療を併用する方法をさらに追求されることが期待される.