日本大腸肛門病学会雑誌
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潰瘍性大腸炎の重症例と難治例の手術適応と時期
自験手術例54例における検討
酒井 靖夫畠山 勝義島村 公年谷 達夫岡田 貴幸村上 博史岡本 春彦須田 武保
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1995 年 48 巻 3 号 p. 232-241

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抄録

自験潰瘍性大腸炎手術例54例をretrospectiveに解析し,重症例と難治例の手術適応と時期を検討した.手術適応は絶対的(主に重症25)と相対的(難治27)が半数ずつあり,再燃緩解型81%,全大腸炎型83%,重症型74%が多くを占めた.重症例の術前強力静注療法期間は平均44日で,2週以内の手術例は5例のみであった.4週間以上継続15例はステロイド減量で増悪する例で,うち4例が中毒性巨大結腸症,大出血を合併した.難治例では再燃,入院回数が多く,入院期間も長く,56%にステロイド副作用を認め,QOLが障害されていた.重症例では1週間の強力静注療法で無効なものは手術適応であり,改善する場合も約1カ月目までにステロイド減量不能か緩解しなければ手術を選択した方がよい.難治例では厚生省基準の他に患者のQOL(長期入院例,ステロイド離脱困難例,腸管外合併症)も考慮し,早めに適応を決定すべきであると考えられた.

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