日本大腸肛門病学会雑誌
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家系内発症をみた潰瘍性大腸炎の1家系
本邦報告例の集計を含めて
佐藤 一也野村 昌史綾部 時芳垂石 正樹榮浪 克也斉藤 裕輔蘆田 知史柴田 好高後 裕斉藤 孝成中島 康雄
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1995 年 48 巻 7 号 p. 597-605

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抄録

潰瘍性大腸炎 (UC) は, 欧米では家系内集積性が高いが, 本邦では比較的稀とされてきた. しかし, 近年本邦においても, 本疾患の増加に伴って家系内発症の報告も増加している. 今回われわれは, 伯母 甥 (従兄), 甥 (従弟) のII, III度近親間の3人に発症したUCの1家系を経験し, HLAの検索を行ったので報告する. 症例1は58歳の女性. 36歳時に粘血便で発症し, 再燃緩解を繰り返している. 症例2 (甥) は29歳の男性. 16歳時に粘血便, 腹痛で発症した. 発症時には直腸S状結腸炎型であったが, 再燃緩解を繰わ返し全大腸炎型へと進展した. 症例3 (症例1の甥, 症例2の従弟) は24歳の男性. 22歳時に粘血便, 下腹部痛で発症した. 全大腸炎型のUCで再燃緩解を繰り返している. HLA を検索したところ3人ともA24-B52-DR2のhaplotypeを有していた. 本邦において HLA が検索されたUCの家系内発症34家系にっいて検討したところ, A24-B52-DR2(-DQ1)のhaplotypeがUCの発症に関与すると考えられた.

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