日本大腸肛門病学会雑誌
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肛門機能検査からみた側方の筋間痔瘻に対する術式の検討
辻 順行高野 正博黒水 丈次嘉村 好峰豊原 敏光石橋 憲吾
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1996 年 49 巻 10 号 p. 1182-1190

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抄録

術前, 術後1カ月, 術後3カ月に経肛門的超音波検査と肛門内圧検査が施行された側方の筋間痔瘻に対する開放術の7症例, seton術の7症例, 括約筋温存術の19症例の計33症例を対象として検討を加え以下の結果を得た.
(1) 開放術を施行すると内・外括約筋は切開部を境として急激に収縮が起こり括約筋は開き, 静止圧, 随意圧ともに低下する. (2) seton術は瘻管の開放が進む一方で創の治癒も進むが, 内括約筋は切開されるために, 開放後は開放術に近い静止圧の低下が起こる. しかし, 低位筋間痔瘻の場合瘻管と外括約筋が交叉する程度が軽いために外括約筋が切開される程度は少なく, 随意圧は術後括約筋温存術とほぼ同等な圧が保持される. (3) 括約筋温存術は内外括約筋の断裂が軽く, しかも他の術式と比較すると術後の内圧の低下が軽く病変の根治と術後の機能温存の両方が計られる術式で, 側方の筋間痔瘻に対しても第一選択の術式であると考えられる.

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