1996 年 49 巻 10 号 p. 1230-1237
期間別 (前中後期) に結腸癌の外科治療成績を比較し成績の改善の有無を検討した. 根治度AからCまで含めた全体の成績では後期で有意に5生率が改善していた. その理由はstageIの増加, 根治度B症例の増加と考えられた. 郭清度の拡大による効果はstage別にみた場合統計学的には証明されなかった. しかし, リンパ節転移個数が4個以上の症例については後期症例の成績が改善しており, 進行癌についてはD3郭清を基本とした十分な郭清をこころがけることは小さな効果ではあるが現在, 外科治療でしか得られない効果であり決しておろそかにしてはならないことと思われた.