日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌におけるp53, mdm2遺伝子産物発現とPCNA標識率の臨床病理学的意義
山田 俊二
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1996 年 49 巻 2 号 p. 112-125

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抄録

大腸癌においてp53, mdm2遺伝子産物発現とPCNAを免疫組織学的に検索し, 臨床病理学的因子, 肝転移, 予後との関連について検討した.p53は69.7%の陽性率で, 各病理学的因了との有意な関連はなかった.mdm2は43.8%に陽性で肝転移群, 脈管侵襲陽性群で有意に陽性率が高かった (p<0.05).PCNA LIは平均45.6%で, 肝転移群および深達度が進むにつれて高値を示した (p<0.05).肝転移群において予後との関係をみると, p53, mdm2単独では有意差はなかったが, p53 (-) 群ではmdm2発現の有無で有意な差がみられた (p<0.05).一方, p53 (+) 群ではmdm2発現の有無で予後に差はなかった.以上より, mdm2蛋白の発現および深達度ss以下でPCNA LIが高値の場合は肝転移の高危険群であることが示唆された。またp53 (-) 群でmdm2が過剰発現する例は予後が悪かった.

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