日本大腸肛門病学会雑誌
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結腸内分泌細胞癌の1例
那須 二郎固武 健二郎小山 靖夫J. ImuraS. IgarashiM. Tsumuraya
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1996 年 49 巻 2 号 p. 161-166

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抄録

上行結腸に原発した内分泌細胞癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳の女性で右下腹部腫瘤を主訴に来院した.右下腹部には超手拳大, 弾性硬な可動性を有する腫瘤を触知した.注腸および腹部CTでは上行結腸に巨大な腫瘤を認めた.入院後, 胸腹水が急速に増量し, 腹水細胞診では悪性細胞が認められたが, 確定診断は得られなかった.化学療法を施行したが病状は進行性に増悪し, 入院後40日目に死亡した.剖検所見では上行結腸の巨大な腫瘤, 多数の腸間膜リンパ節転移および腹膜播種が認められた.腫瘍細胞は細胞異型が強く僅かに上皮性結合を示しているものの, 分化傾向は乏しかった.免疫組織学的にはNSE, ソマトスタチン, セロトニンおよびカルシトニンなどが陽性で, 電顕にて細胞質内に多数の神経内分泌顆粒が認められ, 内分泌細胞癌と診断した.

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