日本大腸肛門病学会雑誌
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大腸癌の病態, 予後の推察, および術後フオローアップに際しての術前血清CEA値測定の意義
-インフォームドコンセントへの応用について-
佐藤 美信丸田 守人黒水 丈次前田 耕太郎内海 俊明遠山 邦宏滝沢 健次郎奥村 嘉浩升森 宏次青山 浩幸千田 憲一
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1996 年 49 巻 2 号 p. 73-82

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抄録

大腸癌患者やその家族とのインフォームドコンセントの際の情報の1つとして術前血清CEA値から病態や予後がどの程度まで推測できるか, および術後フォローアップに際しての血清CEA値測定の有用性について検討した.1986年から5年間に手術を施行した大腸癌329例の検討では, 術前血清CEA正常範囲例は全症例の55.3%と過半数を占めた.術前血清CEA値5.1ng/ml以上では全例が進行癌で, 術前血清CEA値10.1ng/ml以上では78.0%にリンパ節転移を有し, 20.1ng/ml以上の50.0%に肝転移を認めた.術前血清CEA高値例では正常値例に比べて再発率は高く, 予後は不良であった.術前血清CEA高値例では75.0%が再発時にも血清CEA値が上昇したのに対し, 術前血清CEA正常値群では, 62.5%が再発時にも正常値であったため, 術前血清CEA正常値例では術後のfollow upに際して, 血清CEA値測定の有用性は低く, 画像診断が必要と考えられた.

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