49 巻 (1996) 5 号 p. 373-377
大腸脂肪腫は比較的まれな疾患であるが, 最近の診断技術の向上によりその報告例は増加している.われわれは巨大な結腸脂肪腫を経験したので報告する.症例は54歳男性, 下血を主訴に来院.注腸造影検査, 下部消化管内視鏡検査, CT検査より下行結腸脂肪腫と診断した.直腸単純性潰瘍の並存を認め, 主訴である下血はこれによるものと考えられた.腫瘍は巨大なため内視鏡的切除は不可能と判断し, 結腸部分切除術を施行した.病理診断は脂肪腫 (70×50mm) であった.大腸脂肪腫は3cm前後のものが多く, 径が大きくなるほど腸重積をはじめ諸症状を呈しやすい.今回われわれの症例では70mmの大きさにもかかわらず, 脂肪腫による主だった症状は認められなかった.これには脂肪腫の発生した場所が, 後腹膜に固定された下行結腸であったことが関係していたと考えられる.