日本大腸肛門病学会雑誌
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S状結腸癌に併存した虫垂粘液嚢胞腺腫の1例
工藤 俊川村 博司亀山 仁一塚本 長
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1996 年 49 巻 6 号 p. 493-497

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抄録

症例は56歳, 男性。便潜血陽性のため精査した結果, S状結腸癌を認めた。術前に虫垂病変は明らかでなかったが, 開腹時に7×3×3cmに棍棒状に腫大した虫垂腫瘍を認めた。盲腸への連続性はなく虫垂切除を施行し, S状結腸癌に対しては, S状結腸切除を施行した。摘出した虫垂腫瘍は, 割面が単房性で黄白色ゼリー様物質で充満していた。病理組織学的検査の結果, 虫垂粘液嚢胞腺腫と診断された. 本症例のような大腸癌に併存して認める虫垂嚢腫は, 本邦では過去に10例の報告であるにすぎずきわめて稀である。しかし欧米ではそれほど頻度が低くはなく, 今後, 虫垂粘液嚢腫の症例に対しては, 大腸癌の併存も考慮して診断, 治療にあたるべきと思われた.

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