日本大腸肛門病学会雑誌
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イレウス大腸癌の検討
-全周性大腸癌との対比で-
小島 康知岡島 正純浅原 利正有田 道典小林 理一郎中原 雅浩正岡 良之豊田 和広藤高 嗣生川堀 勝史土肥 雪彦
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1996 年 49 巻 6 号 p. 498-503

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抄録

1980年から1991年の間に切除された全周性大腸癌は107例であり, このうちA群 (イレウスを伴った症例 : 16例), B群 (軽度の閉塞症状を伴った症例 : 37例), C群 (閉塞症状をまったく有しなかった症例 : 54例) に分類し, A群の臨床病理学的特徴および予後に関して他の2群と比較検討した. 年齢, 性別, 肉眼型, リンパ節転移度, 脈管侵襲および組織学的進行度では3群間に有意差は認められなかった. 腫瘍径ではA群はC群に比べ縦径は有意に短く (P<0.05), 横径も短い傾向を認めた. A群の腫瘍占拠部位は, 左側結腸に多く, 直腸に少なかった. 根治度A切除大腸癌症例, 根治度A結腸癌症例および根治度Aでかつリンパ節転移を認めない大腸癌症例の5年生存率でもA群は他の2群と有意差を認あず, イレウスの長期予後に対する影響は少ないと考えられた. イレウスをともなった大腸癌においても積極的な切除と郭清が必要と考えられた.

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