日本大腸肛門病学会雑誌
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便潜血反応陽性を契機に発見された大腸癌症例の検討
永岡 栄豊島 宏板東 隆文折津 政江
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1996 年 49 巻 7 号 p. 550-553

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抄録

便潜血反応陽性を契機に発見された大腸癌の傾向を明らかにし集検における便潜血検査の意義を考察した. 集団検診, 人間ドックなどで便潜血反応陽性をきっかけに発見された大腸癌症例205例 (集検群) を対象として, 有症状で発見された大腸癌症例539例 (対照群) と臨床病理学的事項を比較した. 集検群の症例は年々増加する傾向にあったが, 対照群の症例数の減少傾向は認められなかった. 早期癌の割合は, 対照群では近位大腸において低くなる傾向を示した (直腸13.2%, 左側結腸16.1%, 右側結腸5.6%) が, 集検群では各占居部位で差を認めなかった (直腸56.3%, 左側結腸60.0%, 右側結腸56.9%). 便潜血検査で発見された大腸癌は比較的早期の殺階の癌が多いという予測どおりの結果が得られたが, とくに右側結腸癌に関しては早期癌発見率の向上が大いに期待できると考えられた.

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