日本大腸肛門病学会雑誌
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6.裂肛に対する古典的療法の応用
畑 嘉也黒川 彰夫増田 芳夫
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1997 年 50 巻 10 号 p. 1120-1125

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抄録

裂肛は慢性化すると肛門狭窄,肛門ポリープ,皮垂,痔瘻などの二次的変化を伴い,治療に難渋することがある肛門疾患であり,わが国では側方皮下内括約筋切開術(LSIS)と皮膚弁移動術(SSG)が好んで実施されている.しかし最近,これらの遠隔成績から術式の選択と長期の予後について検討される傾向になってきた.その結果,臨床医にとっては各種の保存的療法や手術的療法など治療法の選択に悩む場合がある.そこで筆者らは本間棗軒の「瘍科秘録」および畑嘉聞の「非観血的痔疾療法」に記載された古典的な治療法からヒントを得て,「振り分け結紮術」を考案,1988年から本院で実施したところ良好な成績を収めてきた.本法は局所麻酔下で外来通院治療が可能で,誰でも容易に施行できる簡単な術式であるが,種々の程度の裂肛に対応でき,minor incontinenceなどの術後障害を生じ難い有用な方法である.

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