50 巻 (1997) 4 号 p. 249-253
患者は42歳,男性.平成7年12月下旬に右下腹部痛,下痢,発熱の急性発症を認めた.保存的治療で一時症状の改善を見るが,食事摂取のたびに症状再燃し,検査の結果回腸末端部に約20cmの全周性区域性潰瘍と高度の狭窄を認あた.約3カ月の保存的治療にても改善を認めず,諸検査にて虚血性小腸炎による狭窄を疑い,平成8年3月15日回盲部切除術を施行した,術後病理では,狭窄部腸管は一様にUL IIの潰瘍を示し,粘膜下層を中心とした血管の増生,うっ血,線維化と動脈内膜の肥厚を認め,狭窄型虚血性小腸炎と診断された.本症の成因は不明であるが,進行性に狭窄を生じることから本症を念頭においた早期診断と外科的切除が必要と考えられた.またこれまで非定型的クローン病,非特異的小腸潰瘍とされてきた疾患の中に本症が含まれる可能性もあるとされることから,術前の慎重な診断とともに術後の病理検索が重要であると考えられた.