日本大腸肛門病学会雑誌
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胃癌再発による大腸狭窄に対する大腸切除例の検討
高橋 誠藤本 茂武藤 高明小林 国力豊沢 忠
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1998 年 51 巻 7 号 p. 500-504

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抄録

胃癌再発による大腸狭窄9例に手術を施行した.胃癌の病理所見は,低分化型が7例,粘液癌2例で,高および中分化型はなかった.再手術までの期間は12~86カ月,平均39カ月と長かった.手術は大腸切除のみが3例で,6例では他臓器合併切除がされた,癌性腹水(少量)がみられたのは2例のみであった.治癒的切除4例,姑息的切除5例であった.4例が術後2,3,10および12カ月で生存中であり,入院死1例を除いた死亡4例の術後生存期間は8~34カ月,平均24カ月であった.入院死1例を除いた8例はすべて大腸狭窄が解除され,経口摂取が可能となり退院した.以上のごとく,胃癌再発による大腸狭窄例のうち,低分化型あるいは粘液癌で,再発までの期間が長く,癌性腹水のない症例では,積極的切除によって,QOLの向上が期待できると思われた.

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