日本大腸肛門病学会雑誌
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痔核術後の疼痛の解析と対策
辻 順行高野 正博黒水 丈次
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1999 年 52 巻 6 号 p. 519-523

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抄録

平成5年9月から平成7年12月までに当院で手術を行った痔核173例の中で, 強度疼痛が発生した48例を対象として分析を加え以下の結果を得た. (1) 内痔核症例の48/173症例27.7%に発生した. (2) 非嵌頓症例における術後の強度疼痛の発声頻度は20.1% (29/144症例) で, 嵌頓痔核では48.3% (14/29症例) であり, 両者間で有意差を認めた (排便時に生じた5例は除いた43例で分析).したがって術後の疼痛からは急性期を過ぎてから手術も行ったほうがよいと思われた. (3) 疼痛と肛門内圧 (静止圧) との関係をみると, 肛門内圧が正常よりも高い症例の中に強度疼痛の発声頻度が有意に高かった.したがって術前, 内圧検査で高い制止圧が得られた症例では内括約筋切開を加えた方が良いと思われた. (4) 術後の強度の疼痛は89.6%が術当日と術後1日目の2日間に発生した.以上より術前に静止圧が高い症例や嵌頓痔核の症例では術後の疼痛が強いことが予想され, 術後持続的な鎮痛剤例えば持続的皮下注入法の投与を術当日と術後1日目の2日間に限って投与した方がよいと思われた.

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