日本大腸肛門病学会雑誌
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虫垂炎疑診例に対するCT検査の有用性
小島 康知中塚 博文栗原 毅豊田 和広大城 久司
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2000 年 53 巻 1 号 p. 56-61

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抄録

虫垂炎疑診例に対しCT検査を行い,有用性を検討した.対象と方法:1997年1月から98年8月まで当院へ右下腹部痛を主訴に来院し,急性虫垂炎が疑われた32例に腹部CT検査を施行した.結果:CT所見では直接所見を24例,間接所見を16例(複数所見15例を含む)に認め,25例を虫垂炎と診断し緊急手術を施行した.他の7例はCT検査にて上記の所見は陰性であり,虫垂炎は否定的であった.開腹手術施行した25例中,組織診断に提出した21例は虫垂炎と病理組織診断された.以上の結果から虫垂炎の診断にCT検査を用いる利点として,(1)高い正診率,(2)不必要な虫垂切除の回避,(3)膿瘍および穿孔性虫垂炎の指摘,(4)虫垂位置異常の指摘,(5)麻酔方法の選択である.欠点として,(1)放射線被曝,(2)医療費の高騰化の問題がある.以上の点をふまえても虫垂炎疑診例の診断にはCT検査は有用であると思われた.

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