日本大腸肛門病学会雑誌
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Rectoceleに対する経肛門的直腸粘膜焼灼・直腸腟壁縫縮法に関する臨床的検討
栗原 浩幸金井 忠男山腰 英紀石川 徹
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2000 年 53 巻 3 号 p. 167-172

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抄録

Rectoceleは,主に女性において直腸前壁の弛緩のために,便秘・排便困難・残便感などの排便障害を呈する疾患である.rectoceleには内痔核・裂肛等の肛門部病変を伴うことが多く(約65%),その処置も必要な場合があること,愁訴が排便に関するものであるため,経肛門的手術のほうが受け入れやすいなどの理由から,当院においては「経肛門的」手術を行っている.すなわち経肛門的に,rectoceleの存在範囲およびその周囲の直腸粘膜上皮を電気メスにて焼灼し,直腸粘膜下層・直腸固有筋層・rectoceleの両側に存在する肛門挙筋に対し,横方向の結節縫合を施行し直腸腟中隔を補強,ドレナージ創を作製するという術式である.1997年4月から1999年3月の間に72例のrectocele手術症例を経験し,有症状例60例は全例に症状の改善が得られた(excellent 39例(65%),good 18例(30%),fair 3例(5%),poor 0例(0%)).全治4週間程度であり,合併症は認めず.有効な手術方法であると考えられる.

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