75歳以上高齢者直腸脱5例(全例女性,75-82歳,平均77.4歳)の術前とDelorme変法(恥骨直腸筋と外肛門括約筋の縫縮を付加)術後1年目に直腸肛門内圧検査を行い,対照11例(全例女性,61-76歳,平均68.9歳)と比較検討した.対象は全例が経産婦で,慢性便秘による排便時怒責とsoilingを伴っていた.術後soilingについては,消失が2例,軽快が3例であった.検査成績は,術前の括約筋能(肛門管長,最大肛門管静止圧,最大肛門管随意収縮圧),直腸知覚能(最小知覚量,最小耐容量),直腸貯留能(最大耐容量,コンプライアンス)は対照より有意に低下し(それぞれ,p値は0.05未満),術後では,括約筋能には変化なく,直腸知覚・貯留能が正常値に復した.soilingを伴う高齢者直腸脱には,直腸肛門機能不全が存在し,術後soilingの改善は,直腸壁縫縮による直腸知覚・貯留能の回復と恥骨直腸筋縫縮が関与したと考えられた.