2000 年 53 巻 8 号 p. 536-539
大腸ポリープの分類不能とされるものの中で,共通の特徴がみられたpolypに対してcolonic mucosubmucosal elongated polyp(CMSEP)という概念が近年提唱されている.われわれは,本概念に相当すると思われる症例を経験したので報告する.症例は,58歳の女性で,血便を主訴とし来院した.注腸検査で上行結腸に細長いポリープを認め,大腸内視鏡的ポリープ切除術を行ったところ,切除されたポリープは65×10×10mmであった.病理学的検討で,表面は正常な大腸粘膜に覆われ,粘膜下に拡張したリンパ管と血管の増殖からなるポリープで,CMSEPの特徴に一致した.現在までに自験例を含めて,27例,29個のCMSEPが報告されており,これらを検討し報告した.CMSEPという新しい概念は,大腸ポリープに対するひとつの分類として確立されるべきと考える.