日本大腸肛門病学会雑誌
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びまん浸潤型大腸癌における浸潤・転移関連因子の発現性の検討
大平 猛小西 文雄佐藤 勉永井 秀雄
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2001 年 54 巻 2 号 p. 79-85

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抄録

びまん浸潤型大腸癌における転移・浸潤関連因子の発現性を限局性発育を示す他の大腸癌における各因子の発現性と比較することによって,びまん浸潤型大腸癌における各因子の発現性の特徴を検討してみた.1990年から1999年までに経験されたびまん浸潤型大腸癌5例と,限局発育型大腸癌20例における原発巣組織を評価対象とした.浸潤・転移関連因子は,転移成立において重要と思われる10因子を選択し免疫組織学的に評価した.P値<0.05で有意差がみられたのはα-catenin,β-catenin,MT2-MMP,cMETreceptor,の4因子で,P<0.07で傾向をもって差を認めた因子はKAI-1であった.今回評価されたびまん浸潤型大腸癌では限局発育型大腸癌に比べて細胞間接着関連因子の減弱と,膜型マトリックス分解酵素系因子および細胞増殖関連因子の増強が特徴的であった.また血行性転移の成立に必要とされる糖タンパクの発現性が減弱していたことが注目された.

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