2001 年 54 巻 5 号 p. 329-333
Fournier壊疽の2例を経験したので報告する. 症例1は52歳, 男性. 肛門周囲の痛みを主訴に入院. 陰嚢から肛門周囲に著明な発赤と腫脹を認め, CTでは, 同部に膿瘍腔とガス像を認めた. 切開, デブリードメント施行し, 術後, 高圧酸素療法, エンドトキシン吸着療法を併用し第50病日退院となった. 症例2は57歳, 男性. 肛門周囲の痛みを主訴に入院. 陰嚢から肛門周囲に発赤があり著明に腫脹していた. CTでは, 同部に膿瘍腔とガス像を認め, また, 下行大動脈に径6cmの動脈瘤を認めた. 切開, デブリードメント施行し, 術後, 高圧酸素療法, エンドトキシン吸着療法を併用した. 経過良好であったが, 第11病日に大動脈瘤破裂にて死亡した. 本症に対する治療において, 早期診断と広範な壊死組織のデブリードメントが救命のうえで重要と思われた. また, 薬剤感受性を頻回に検査し抗生剤を変更し, 高圧酸素療法, エンドトキシン吸着療法などの併用も必要であると思われた.