日本大腸肛門病学会雑誌
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1.総説:痔核治療法の適応と限界
岩垂 純一
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キーワード: 痔核治療, PPH, レーザー治療
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2003 年 56 巻 10 号 p. 785-790

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抄録

痔核には内痔核と外痔核,全周性のものと部分的なもの,血管性のものと粘膜性のものなど様々な種類が存在するが,これらの種類によって最も適した治療法が選択されるべきである.従来は出血する内痔核には硬化療法が,脱出する内痔核や粘膜脱にはゴム輪結紮療法が行われ,脱出する内外痔核には手術が行われてきた.新しく試みられるようになったOC-108は脱出する内外痔核に効果があるが,その永続性は確立されておらず,現時点で脱出を主訴とする高齢者やリスクの高い患者に非観血的に行える方法として価値がある.ICG併用のレーザー療法は非観血的に安全に行えるが外痔核部分や粘膜脱を主とする痔核に対しては不適で内痔核の血管性痔核に有効な補助的な治療法である.LIGASUREはあらゆる内外痔核や粘膜脱に有効であるが大きなものには術後の創の〓開などの限界が生じる.
PPHは脱出の高度な全周性の内痔核や外痔核成分が大きくない内外痔核や粘膜脱に有効であるが,従来,手術適応となった大多数の内外痔核の脱出する程度のものには侵襲が過度になり不適である.

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