日本大腸肛門病学会雑誌
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尾骨部嚢胞性疾患3手術症例の検討
伊藤 正朗加瀬 肇下山 修小林 一雄平野 敬八郎伊原 文恵浜谷 茂治永澤 康滋田中 良明寺本 龍生
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2004 年 57 巻 1 号 p. 28-33

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抄録

尾骨部嚢胞性疾患の3例を経験したので報告する.症例1:24歳女性.殿部仙痛および排便障害にて受診し,直腸後壁に腫瘤を指摘された.CT・MRI検査にて直径約6cmの嚢胞性腫瘤を認め,経仙骨的腫瘤切除術を施行した.症例2:60歳男性.直腸腫瘤を指摘されたが3年間放置していた.CT検査にて肛門から約3cm口側の直腸前壁に直径約2cmの境界明瞭な石灰化を伴う腫瘤を認め,経肛門的腫瘤摘出術を施行した.症例1・2では腺窩,絨毛,筋層問神経叢を有し平滑筋層と漿膜から構成され,嚢状型重複腸管と診断した.症例3:28歳女性.直腸後壁に仙痛をともなう腫瘤を触知し,MRI検査にて尾骨部嚢胞性疾患が疑われた.経仙骨的嚢胞切除術を施行した.病理所見では,重層円柱上皮で被われた管状構造が見られ,Tailgut cystと診断した.尾骨部嚢胞性疾患は術前診断が困難であるが悪性化をきたすことがあるので嚢胞を一塊に完全に摘出するべきである.

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