日本大腸肛門病学会雑誌
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真性多血症を合併した直腸癌の1手術例
松田 明久高橋 慶一山口 達郎松本 寛宮本 英典古川 清憲田尻 孝森 武生
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2005 年 58 巻 3 号 p. 159-163

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抄録
真性多血症(Polycythemia vera;PV)を合併した直腸癌の1手術例を経験したので報告する.症例は56歳,女性.約4年前よりPVの診断にて瀉血療法を受けていた.平成16年4月,下腹部痛を自覚し,注腸検査および大腸内視鏡検査で直腸癌と診断され,手術目的で当院入院となった.末梢血液学的検査では,赤血球数765×104/μ1,白血球数22.0×103/μ1,血小板65.2×104/μ1,ヘモグロビン(Hb)14.9g/dl,ヘマトクリット(Ht)49.4%であった.6月2日,前方切除術D3リンパ節郭清術を施行した.術後約24時間後よりドレーンから新鮮血の排液および下血を認めた.血小板数の減少は認めず,手術侵襲を誘因とした血小板機能異常が出血の原因と考え,血小板輸血を施行したところ改善を認めた.PV症例における手術時の合併症予防には,内科的な術前管理の他に,術後の厳重な凝固線溶系の管理が重要であると思われた.
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